〜成功する独立〜
第10話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 |
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1.会社の成長と製品開発 | ||
(1) あらすじ ?
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?籐子に説得された貫井は気を取り直す。そんな時、楠木文具から大きな広告で会社を蘇らせることはできないかという相談を受ける。貫井は自分の力を0から試せる楠木文具と仕事をしたい、と言い始める。
?貫井は楠木文具に対して、新しい商品の開発と広告を組み合わせて起死回生を狙う提案を行った。楠木文具からOKが出て、貫井と籐子は共同で商品開発を始める。
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?a なぜ、貫井はヴィーナス化粧品の仕事を断って、楠木文具の仕事をしたいというのか?
ヴィーナス化粧品の仕事は、従来の多くの仕事のように広告だけを任されるという仕事である。今の貫井にとって必要なのは、1からスタートできる仕事。貫井は今までのやり方を見直し、心機一転して新しい自分を見つけたいので、製品開発から手がけられる楠木文具の仕事をしたいと思った。楠木文具の仕事はかって大ヒットになった缶コーヒー、ブロックスの仕事のように、自分自身が熱中できる可能性があるから、クリエイターとしてもやりがいがあった。 b 籐子は貫井にとってどんな存在になったのか? ?
吉武が指摘するように、籐子は貫井にとって必要不可欠の存在になっている。貫井はクリエイターとして一流だが、経営者としてはまだまだ。そんな時に単刀直入に苦言を呈しながら、恨まれない立場の人間が必要。木村は後輩かつライバルだから反発してしまう。吉武は営業マンとしての立場があるから、貫井と利害が対立しやすい。籐子は貫井の部下だが仕事上でライバル関係になく、友人的な存在でもあり、籐子の性格もあって比較的貫井は素直に聞きやすい。こうした人間が1人身近にいることで、貫井はかなり救われるであろう。 c 貫井と一緒に仕事をする籐子はどんな気持ちだろうか? 好意を持っている男と協力し合って同じ目標に向かう仕事は楽しいであろう。しかし、相手は自分のことを恋愛対象の女性と見てくれない寂しさもある。だからといって、恋愛感情を示したとたん、今の良い関係が崩れる心配があるし、春菜の想いも知っているだけにいえない。幸せだけれど辛いという、なんとも言えない気持ちではないか。 d 新商品開発は楠木文具にとってどんな意味があるか? 楠木文具は100年も生きながらえた企業ではあるが、鉛筆を中心とした文房具製品のライフサイクルが衰退期に入り、それに伴って売上も下降している。売上が下降しているから組織も沈滞し、従業員も保守的で老衰しつつある。こうした状況を打破し、会社を新たな成長軌道に乗せるためには、新しい成長戦略が求められる。楠木文具の資金やブランドの現状と市場の動向から、貫井企画は楠木文具へ新製品開発戦略による新たな成長を提案した。新製品といっても、楠木文具の原点である鉛筆を使っているので、既存の経営資源を活用できる。鉛筆にキャラクター性を持たせ、文具から雑貨へ市場を移すものの、顧客の中心は従来どおり子供である。この製品がヒットすれば、鉛筆の寿命も延び、また、新たに雑貨事業への多角化という道も切り開け、会社の花形事業へ育て、成熟製品である鉛筆中心の事業構成を修正することで、鉛筆事業の衰退のリスクに対する対応になり、会社の寿命を延ばすことが可能になろう。 e 籐子にとって木村はどういう存在?
2人の関係は、互いによき理解者で、支えあう友人。男女の壁を超えた仲間といったところか。こうした仲間がいると、社会に出たときにそのありがたさを実感するだろう。 ?f なぜ、籐子は貫井企画を辞めようとしているのか?
貫井へ恋愛感情を持ち、その恋愛が春菜の存在と貫井の籐子に対する感情から成就しないと思ったため、籐子はこれ以上、貫井の近くにいるのが辛いため。 g 籐子が貫井企画を辞めると聞いて、なぜ、春菜の表情が晴れやかになったのか? 最大のライバルである籐子が、貫井の側からいなくなるから。籐子のいじらしさに対して春菜は嫌な女の子として描かれている。 ?h 貫井たちが作った楠木文具の新製品は売れると思うか?
市場調査も十分でないし、貫井と籐子の創造性と感性だけに依存した製品開発ゆえにリスクが高い。キャラクターは可愛さが命なのに、あのねずみのキャラクターも可愛いと思えないが。 ?i あなたが吉武だったら、籐子が辞めるといったとき、どういう対応をしたか?
問題は彼女の貫井企画における重要性と彼女の恋愛感情の葛藤である。それを解決するには、彼女の恋愛感情を満たす、すなわち貫井との仲を取り持つか、恋愛感情を切り離し仕事に打ち込んでもらうかであろる。前者は貫井の気持ちもあることだから難しいが、後者は再就職の厳しさや仕事での自己実現達成を説得することが考えられる。 |
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2.経営と新製品開発 | ||
???(1) 会社の寿命30年説 ?a顧客・・・既存の顧客との取引が永続的に続くわけではないので、絶えず新しい顧客を獲得する努力が必要である。
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b製品・・・製品もいつかは顧客に飽きられ、売れなくなる。そのため、製品の改良や新製品の開発が不可欠。 ?
cポートフォリオの発想・・・複数の顧客と製品を持つ、ポートフォリオ的経営が必要である。 ?
(3) 会社を成長させる原動力 a製品革新・・・新製品を創ったり、製品に革新的な改良を加える。例えば、トヨタのハイブリッドカーなどが例となる。 b生産革新・・・生産工程で生産性が向上する革新を導入する。例えば、フォードの大量生産システムや工場の情報化などは典型の例。 c組織革新・・・組織のメンバーの意識改革やスキルの向上をもたらす、システムや文化の革新。例えば、職場へのIT導入は働き方を変えつつある。 (4)成長戦略 a 市場浸透戦略・・・既存の製品を既存の顧客へよりたくさん売っていく戦略で、広告、値引き、販売促進などが考えられる。味の素が味の素の消費量を増やそうとして、ビンの穴の数を増やして、消費量を増やすという奇手を用いたことがあるが、これも市場浸透戦略の1つであろう。 b 市場開発戦略・・・既存の製品で新たな市場を開拓する戦略。典型的なのは国内販売の製品を輸出すること。 c 新製品開発戦略・・・既存の顧客に新しい製品を開発して、購入してもらうこと。例えば、パソコンのOSをバージョンアップして、新たな購買を誘うマイクロソフトの戦略。 多角化戦略・・・まったく新しい顧客を求め、新製品や事業を行うこと。例えば、日立製作所のように重電から家電までの事業を持っている総合電機会社は多角化した企業の典型である。 (5)ポートフォリオ・マトリックス a 市場成長率・・・その事業の成長性を見る。製品ライフサイクルのどの段階に当てはまるかが、市場成長率で量られ、それによって採用する戦略が異なる。 b 相対的市場シェア・・・その製品や事業の収益性が分かる。相対的市場シェアが高いほうが、経験効果によって収益性が一般的に高い。 c 金のなる木・・・企業の収益を生む事業や製品。そのため、新規投資は現状維持できる程度に抑え、収益を最大限にする戦略が採られる。ここで生まれた収入が花形や問題児に投資される。 d 花形・・・成長率が高く売上は伸びるものの、競争が激しく投資も大きくなる。そのため、キャッシュをあまり生み出せず、金のなる木から投資を仰ぐ。競争力を維持し、s表来の金のなる木へ育成する。 e 問題児・・・成長性のある分野で魅力的であるが、競争力が弱く、売上<費用+投資となりやすい。そのため、将来の花形へ育成するため、さらなる投資をするかどうかを考える。 f 負け犬・・・売上の伸びが期待できず、競争力も弱く収益性は低い。ただ、投資も少なくて済むので、売上>費用+投資ならば現状維持とし、反対に費用や投資が増えるならば撤退する戦略を採る。 g プロダクト・ポートフォリオで経営する場合、製品・事業ごとの損益を明確にしなくてはならない。また、このモデルは単純化されているので、意思決定はもう少し詳細な分析と戦略決定をする必要がある。 |
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3.製品ができるまで | ||
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?(1) 製品化から販売までの流れ
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製品企画→製品開発→生産計画→販売計画→試作→テストマーケティング→販売 ?
(2) 製品企画 ?
Step1アイディア収集(ニーズ発想・シーズ発想・他社の真似) ?貫井と籐子は文具店で商品を見たり、買ったり、インターネットで情報を収集し、自分たちの感性で発想していった。
Step2アイディアの評価 ?鉛筆ねずみのアイディアが明確になったら、そのアイディアが良いかどうか、事務所の仲間、ターゲット顧客へ聞いて、それで評価してもらう。良い評価が得られれば、Step3へ移る。
Step3具体的な製品コンセプト(名前・効用・用途・仕様・対象顧客・価格・販売チャネル等)の立案 アイディアを具体的な製品としてイメージを固めなければならない。デザイン、ヒットしそうな名前、耐久性があってデザインしやすい材質、生産費用、販売価格、どこで売るかを煮詰めていく。 ? Step4コンセプトに沿った製品を設計 実際の製品が作れるように、設計書をひく。 (3) 製品設計(デザイン)
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a 機能によるデザイン→基本的効用確保 ?ノートパソコンならば、ディスプレイ、キーボード、インターフェース、マウスパッドなど外観に関わる部品。そして、CPU、ハードディスク、メモリー、光学記録装置など中に入れる部品。それらをどこに置くかで大体のデザインは決まってしまう。
b ファッションによるデザイン→ブランド確立 ソニーのバイオのように、天板に薄紫のマグネシウム合金を使い、ファッション性を加え、他社製品と差別化し、ブランドを確立する。 ?
(4) 製品設計の内容 ?
aコンセプトに基づく仕様の最終決定 ?
b外見・配置のデザイン ?
c材質・部品の選択 ?
d原価(コストとの兼ね合い)計算 ?
eデザインのリサーチ ?
f製品としての機能・安全性・耐久性の確認 ?
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4.製品設計 | ||
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