第11回 「会社の中のいいひと。」
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1.第6話
(1) あらすじ
上村がすずらんマラソンへ出場したが、敗退。しかも、会社批判をしたことから、駅伝部は駅伝出場を止めさせられる。ハンパ課課員もクビの危機。しかし、二階堂は会社と戦う気になる。そうした現状に対して城山は社長に直訴し、駅伝大会出場を認めさせる。一方、ライテックス創立50周年記念パーティーに間に合わせようとして作った試作品は事故でダメになる。稲葉から二階堂を通じて、駅伝大会で使用するハンパ課のシンデレラをパーティー会場へ届けてほしい、と頼まれる。北野は駅伝大会へ出場しなくてはならないのにもかかわらず、稲葉のためにシンデレラの試作品を届ける。北野のお陰で無事パーティーは終了し、駅伝大会へ戻った北野に代わり、細川がシンデレラを履いて走るが…

(2) ドラマのポイント
A 北野は周囲の人間をどう変えたか?
稲葉の気持ち、「組織を活性化してくれた」ということにつきる。窓際、いや地下室へ追いやられたハンパ課課員をやる気にし、仕事だけにしか関心がなかった二階堂や稲葉の考え方へ影響を与えた。事なかれ主義の城山に勇気を与え、会社の利益だけを考えてきた社長に夢の大切さを示した。北野の行動が、経営者や社員の意識を変え、これがライテックスの組織を変えていくであろう。

B ライテックス社長のリーダーシップをどう考えるか?
専制的リーダーシップで、しかも自分とは異なる意見に耳を貸さない。創業社長にありがちなタイプで、こうした社長に対して社員からの情報は正確に伝わらず、いつの間にか裸の王様になってしまい、的確な意思決定を行えなくなる。こうした社長に直言する北野のような人材は貴重なはずであるが・・・。

C なぜ、ハンパ課と駅伝部員のみんなが一つの夢に向かって進んだのか?
夢として共有できるだけの魅力が、シンデレラのプロジェクトにあった。そのプロジェクトが周囲の妨害などの困難に晒され、いっそう夢を共有する者同士の団結力が強まった。

D 会社、仕事、個人の夢、どう折り合いをつけるのか?
非常に難しいが、会社の仕事の中で自分の夢を見つける、夢の持てる仕事を得る努力をする、会社の仕事と自分の夢をはっきり分ける、などの方法から自分に合ったやり方をする。

E 北野の生き方から何を学べるか?
レポートでは、好き、理想だが現実ではこういう生き方はできない、嫌いなどの意見があった。ただし、北野の前向きな姿勢や他者を大切にする考えは、ビジネスに限らず大切なことであろう。

2.組織がなぜ変わるのか?
(1) 組織変革の理由
組織を取り巻く環境の変化に対応するため、組織も変わらないと変化に立ち後れ、淘汰されるから。

(2) 組織変革の方法
a 組織の使命や構造的改革を行う。
b メンバーの意識改革を変える。

(3) メンバーの意識をどう変えるか
a 変革や新しいビジョンに関するメンバーの理解と共感
b 組織改革の方向と個人の意識のギャップを理解し、ギャップを埋める努力を行う。

(4) 信頼とねばり強さが変革には不可欠
a 変わることは不安である。組織メンバーがそうした不安を持つことを前提に改革を考える。
b 不安から変革に対して否定的になることを防ぐため、コミュニケーションを十分取り、信頼関係を築き、不安を和らげる。
c 変わることをねばり強く支援する。

3.新しい経営の方向性
(1) 北野的生き方
a 人の幸せを支援することで善意の輪と循環を生み出す。
b どんな状況でも楽観的に捉え、可能性を否定せずに前向きに行動する。
c 行動なくして成果は生まれない。

(2) 善意をベースにした経営
a 人間性善説を基に善意による経営を行うことで、社員をまとめ、組織目標にコミットさせる。
b 人間中心の組織づくり。
c 信頼と誠実による人間関係を形成し、仕事へ活かす。
d 問題点としては経済合理性が阻害され、経営が非効率になる懸念がある。
e こうした経営手法はNPOなどでは行われているが、企業では難しいかも知れない。

(3) いいひとの組織づくりとリーダーシップ
a 人があり組織ができる
b 社員が仕事に夢や生き甲斐を持てるようにしよう


〜信頼と誠実の経営〜