File NO.303 道南ネット
1.団体概要
団体の種類:協同組合  代表者:掛端光夫氏  代表者の属性:理事長
常勤職員:5名 設立年月1994年 売上規模:5000万円
2.沿革
@JR北海道に不採用になった国鉄職員の函館闘争団を母胎にして、1994年労働者協同組合道南ネットを結成した。
A労働者が地域社会へ貢献できる事業を行うことで価値を創造し、経済的報酬を得る組織であるが、単なる事業活動集団ではなく社会運動的側面も持っている。
B道南ネットが母胎となって、障害者施設、NPO、協同組合などを立ち上げており、道南地域の非営利組織ネットワークの中核になっている。
C生ゴミのリサイクル事業は最近始めた。をまず、コンポス方式で行ったが、時間と悪臭から1年程度で止め、その後、ぼかし肥(発酵たい肥化促進剤)を使った生ゴミのたい肥化を始めた。
3.事業概要
@事業は高齢者世帯や障害者世帯を中心的顧客に据え、住宅の改修繕、物資の販売、全般的な生活支援サービスを手がけている。
A組織全体の売上規模は5,000万円で、不況の影響で最盛期の6,000万円からは低下している。協同組合ゆえに、費用の多くは人件費と推測できる。
B地域社会のゴミ問題、エコロジー教育、雇用の維持の観点から、他地域でも行っている生ゴミのたい肥化事業へ進出する。具体的には生ゴミをたい肥化するぼかし肥の製造と販売を手がける。生ゴミの入った容器にぼかし肥を入れ、1ヶ月程度でたい肥化する。ぼかし肥の費用負担は1家庭で月250円程度。現在、600世帯で使用されており、年間売上高は210万円。
4.ビジョン
@ぼかし肥を使った生ゴミリサイクルはNPO法人で展開する可能性もある。これまでは、一戸建てを中心にぼかし肥を販売していたが、事業者、集合住宅、公共施設等といった生ゴミが大量に発生するところでも、生ゴミのたい肥化を普及したい。
A地域の課題を解決するコミュニティ・ビジネスはたくさんあり、今後も、福祉と環境を結びつけた事業を手がけ、道南地域の非営利組織のネットワークを拡大し、社会改善活動を推進していきたい。
5.分析
@ぼかし肥製造は技術的に容易で、原価も安いため、事業への参入障壁が低い。そのため、道南ネットがこの事業で競争優位を構築するためには、道南ネットが地域社会の生ゴミリサイクルのシステムに組み込まれ、必要不可欠な事業者になることである。そのためには、行政の後押しが必要。
A生ゴミを収集し、集中的にたい肥化し、販売する、一連の業務を道南ネットが手がける戦略もあり得る。その戦略を採用した場合、たい肥販路の確保が重要な課題になる。
B高齢者世帯と障害者世帯に焦点を絞り、効果的なCRM(顧客関係性のマネジメント)を行っている。
C道南ネットの生ゴミリサイクルは他地域でも活用できる、地域循環型自律的なビジネス・モデルゆえに、その事業ノウハウを蓄積しておく必要があろう。
(2002年2月調査)